ダスキンホームインステッド お役立ち情報 【ホームインステッドだより】

ご高齢になるにつれて、口の中の悩みも増えていきます。 しかも、口の手入れが不十分だったり、会話の機会が少ないなど、あまり口を動かさない生活をしていたりすると、体のさまざまなところに影響が出て、要介護状態が進む可能性もあります。 そうならないためのポイントをご紹介します。
<監修>
中村輝夫 (なかむら てるお) 先生
1988年、歯科医院のあるべき姿を求めて横浜市青葉区にクリニックを開設。 『食は一生―そのための「歯」の本』『たまには歯みがき忘れても』など著書多数。
人は加齢とともに歯ぐきがやせて、次第に歯の根が露出していきます。この露出した歯根面は、やわらかいために「根面(こんめん)う蝕(しょく)」というむし歯になりやすく、しかも進行が早く、治療が難しい傾向にあります。 また、歯周病が悪化する方も多く、これによっても歯ぐきは後退していきます。 こうした口の中の状態によって自分の歯を失う割合も増え、部分入れ歯、総入れ歯を使っている方もかなりの数にのぼります。
また「噛む力(咀嚼(そしゃく))」「飲み込む力(嚥下(えんげ))」「唾液を出す力」などの機能も、加齢とともに衰える傾向にあります。
口の中の状態が悪いと、さまざまな影響が体に現れます。 例えば、物がおいしく食べられないために食欲低下を起こし、栄養状態が悪化し、感染症にかかりやすくなって持病の悪化を招くといった悪循環を引き起こす可能性があります。
また、噛み合わせの悪さから、姿勢が保てず、歩行が不安定になり、骨折や寝たきりにつながる危険性もあります。 しかも、歯周病で出血しやすくなった歯肉の血管には細菌や毒素が侵入するため、動脈硬化、糖尿病、脳卒中、心筋梗塞、肺炎などの悪化や誘発が指摘されています。 さらに、胃ろうなどで咀嚼や飲み込みの機会が減ると、脳への刺激が少なくなり、記憶、思考、判断、コミュニケーションなどの「認知機能」が低下するという事例も報告されています。

口腔ケアの基本は、毎食後の歯磨きです。歯と歯の間や、歯と歯肉の境目はプラーク(歯垢(しこう))がたまりやすく、歯周病や根面う蝕の原因になります。 特に「一番奥の歯の後ろ」「残っている歯の周り」「入れ歯のバネがかかっている歯」は磨きにくいため、1日1回は、歯ブラシをする時間を増やしたり、歯ブラシのあて方を工夫して、磨き残しがないように心がけましょう。
口の中の機能が健康で唾液もよく出れば、むし歯にはなりにくいのですが、口やのどに麻痺が起こっている場合は、小さなむし歯でもすぐに悪化してしまいます。 自分でできなければ、介助をしてもらって口腔ケアに努めましょう。 嚥下機能の低下が気になる方の場合は、食べ物などが肺に入って起こる誤嚥(ごえん)性肺炎の予防として、唾液の分泌が少なくなる就寝前にケアするとよいでしょう。
ただし、口腔内は非常にデリケートですから、ご本人に十分な説明をすること。 特に認知機能が低下している方には、無理をせず、まずは「気持ちよさ」を体感してもらうことから始めましょう。
総入れ歯でも、口の中を清潔に保つことは大切です。持病を抱えて抵抗力が弱まると、入れ歯の下の歯肉に細菌が多くつきます。 歯ブラシや舌ブラシなどを使って、口の中の清潔を保つように心がけましょう。
入れ歯のケアで大切なのは、入れ歯についたヌルヌルとした細菌を流水と歯ブラシで完全にこすり落とすことです。 そのうえで、入れ歯用の洗浄剤を使いましょう。入れ歯洗浄剤に入れておくだけでは、なかなか汚れはとれません。
以前は入れ歯を外して寝ることが原則でしたが、最近は、入れ歯を清潔にしてつけたままで就寝することが推奨されるようになりました。 その理由は、歯がない状態より、入れ歯を入れておいたほうが就寝中の口腔機能が保たれ、誤嚥性肺炎の予防になると考えられるようになったからです。 ただし、歯ぐきは入れ歯装着により刺激・圧迫され続けるので、強く食いしばる癖がある方は要注意です。
複雑な形の入れ歯を装着されている方や、手が不自由な方の場合は完璧に清掃することが難しいと考えられます。 できましたら、1〜2週間に一度は、歯科衛生士などに清掃してもらうとよいでしょう。

「根面う蝕」は歯科医で正しい磨き方を教えてもらったり、歯石(しせき)を取ってもらうことである程度進行は抑えられます。 また、あごの形の変化で入れ歯が合わなくなってくることもあるので、半年に1回は歯科医での定期検診をおすすめすします。
飲み込む機能や唾液を出す機能は、訓練により衰えを抑えることができます。 必要を感じている人は、地元の地域包括支援センターが行っている「口腔ケア講座」などに積極的に参加してみたり、担当のケアマネジャーさんに相談してみるとよいでしょう。
口の中を清潔に保つ行為には、栄養の改善、病気の予防など、さまざまな効果が期待できます。 また、歯磨きは歯を清潔に保つだけでなく、口を大きく開ける動作がほおの筋肉をほぐし、歯ブラシの刺激が唾液の分泌を促し、ブクブクうがいがほおと唇、舌の連携動作のトレーニングにもなります。 さらに、歯の状態がよくなれば発音がよくなり、楽しく会話ができますし、口を積極的に使うことで若々しい表情が保てるなど、精神的な面にも影響を及ぼし、生活の質を上げるいい循環が生まれるのです。
記事提供 株式会社保健同人社
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発行 株式会社ダスキン ホームインステッド事業部


